創業 大正6年(1917)
江戸と京都の融合「粋上品」
私にとっての家業である「東哉」は、京都の自社工房でこさえた焼きものを、銀座で販売するという事を長年続けて来ている。仕事上、京都と東京の感覚の違いには興味がある。
江戸は紫、黒板塀に見越しの松とくれば、スッキリ薄化粧の芸者さんが似合う。京都は弁柄の壁にぽってり白化粧の舞妓さんとなる。
江戸は粋、京は雅とよく言われるが、粋も過ぎると下品になり、雅も過ぎれば野暮になる。
「ほどほどに色気もあって品もよく、さりとて冷たくない人に逢ってみたいよな春の宵……」という私の好きな小唄があるが、東哉が先代の頃から心がけている「粋上品」という感性とつながっているように思える。
おとなしすぎない上品と、うるさすぎない粋を合わせ持った「粋上品」という感性をこれからもずっと大切にしていきたいと思っている。
(店主 山田悦央)