Kyoto Ware Ceramics TOSAI

銀座8-8-19  電話:03-3572-1031 
営業時間 :10:00〜19:00 定休日:日・祝
http://www.to-sai.com
   創業 大正6年(1917)
       江戸と京都の融合「粋上品」

私にとっての家業である「東哉」は、京都の自社工房でこさえた焼きものを、銀座で販売するという事を長年続けて来ている。仕事上、京都と東京の感覚の違いには興味がある。
 江戸は紫、黒板塀に見越しの松とくれば、スッキリ薄化粧の芸者さんが似合う。京都は弁柄の壁にぽってり白化粧の舞妓さんとなる。
 江戸は粋、京は雅とよく言われるが、粋も過ぎると下品になり、雅も過ぎれば野暮になる。
「ほどほどに色気もあって品もよく、さりとて冷たくない人に逢ってみたいよな春の宵……」という私の好きな小唄があるが、東哉が先代の頃から心がけている「粋上品」という感性とつながっているように思える。
 おとなしすぎない上品と、うるさすぎない粋を合わせ持った「粋上品」という感性をこれからもずっと大切にしていきたいと思っている。
                                   (店主 山田悦央)


 

■商品の紹介■

 
                               ■和食器・豆知識                東 哉 銀座店 店長 松村 晴代 

第1回 器の扱い方

 今月より皆様に、より和食器に馴染んで頂ければと思い、和食器のお話をさせて頂く事にしました。
 陶磁器についての基本知識や和食器の揃え方などは追々にしまして、初回は一番身近な食器の扱い方についてのご説明をしたいと思います。
 まず陶器(土物)は吸水性があるため使用する前にきれいな水に2〜3分つけて頂きますと茶渋や食べ物の汁が入りにくくなります。食器を買って来たら最初に鍋に入れてグラグラ煮るといいと昔からよく言われていますが、その必要はありません。乾燥した土に水をまきますとすぐ吸ってしまうのと同じ原理です。なので、長期の収納の時だけで、毎日使用の場合は必要ありません。陶器と磁器の見分け方は裏返して高台の中に釉がかかっていない方が陶器です。(例外も有)ゲスト写真
 又、長い間使用しない場合は、よく乾燥してから収納しませんと釉のかかっていない所にカビが出る事があります。
 金や銀で絵付けされた食器は電子レンジに入れますと火花が散り、使用できなくなりますので、絶対に入れないで下さい。又、洗う時はやわらかいのであまりごしごし洗わないようご注意下さい。
 交趾釉(中国陶器などでよく見られるあざやかな黄・緑・紫色などで光沢がある釉)の食器は酸に弱いため酢の物などを入れて使用しますと変色しますのでご注意下さい。
 秋から冬場にかけてご使用頻度が多くなる土鍋の上手な使い方は、まず濃い目の米の研ぎ汁をたっぷり土鍋に入れ弱火で5分程度火にかけ、その後中火にします。アクが出始めたら火を強め、煮立たせて下さい。ふきこぼれそうな前で火を止め、そのままさまして下さい。ゲスト写真
 土鍋の底面は絶対にぬらさないようにして下さい。火からおろした時は急に冷たい所やぬれた所に置かないように御注意下さい。温度差により、ヒビが入ることがあります。ご使用されているうちに底にヒビが入ることがありますが、破損ではありませんのでそのままご使用ください。収納する時は陶器と同じ土物ですので、よく乾燥して下さい。又、ご使用の際、火にかける時は必ず底面がぬれていないかお確かめ下さい。
 以上の点にご注意頂き、ご使用頂きますといつまでも美しく、そして未使用の物より、より味わいのある器として長年お楽しみ頂ける事と思います。  (2007.10)

第2回 器の求め方
 今回は器を求められる時に知っておくと参考になると思う話を致します。
 その前に、前回“器の扱い方”で書き忘れたことがありましたので、先にお話致します。
 銀を使用して絵付をした器のことですが、ご存知にように銀は空気にふれるといぶり黒くなってきます。いぶる方が値打ちが上り、いいとされていますが、ハンドクリームなどをつけてすぐ銀で絵付した所をさわりますと、指紋のような痕が残り、そのままいぶってしまいます。そうすると、むらのある汚い状態になります。
 このようになった時は、どこの文房具屋でも売っている消しゴムで、普通に銀の所をこすって下さい。上のいぶった所が消え、下からきれいな銀が出まてきます。消しゴムですとやわらかいのでキズもつかず美しい状態になります。そして銀の所を油っぽい手でふれないように気をつければきれいにいぶってきます。
 前回の補足が長くなりましたが、今回は器の求め方の話に入ります。
 まず、「身度尺」という事をご存知でしょうか。これは身体に合わせた大きさという意味です。御結婚祝いなどでよく使用される夫婦茶碗や湯呑は男女の器の大きさが少し違います。なぜ、女性用は小さいのか? 差別だ! などとおっしゃる方がたまにいらっしゃいますが、やはり男性より女性の方が少し手が小さい。持った時にしっくりくる大きさという事で、大きさを違えてあります。余談ですが、昔のお盆(トレイ)は日本人の腰の幅に合わせてあり、尺二のお盆を持った時の寸法は手の寸法を加えて尺五(45cm位)になり、京都の廊下は約三尺(99cm位)なので尺二のお盆を持った人がすれちがえるようになっていました。
 寸法は器にとってとても重要です。お盆の大きさもありますが、テーブルカウンターの大きさにによって器の大きさも違ってきます。昔、料亭などの大広間では、銘々にお膳を使っていたため器も大きい物が多かったのですが、カウンター割烹など現在流行では昔のような大きな向付などが置けなくなった現在は器は小さくなっています。一種類の料理を沢山ではなく種類を多く、量は少なくという現代のニーズに合わせている事もあると思われますが……。
 お膳とカウンターとでは目の高さも違ってきます。お膳は上から見るため、見込みといって器の中に絵を描いたものをよく使用します。カウンターは横から見るため器の外側に絵を付けたものを使用します。
 このように使用目的を念頭におき、寸法と目の高さを考え器を選ばれる事をお薦め致します。
 次回も器の求め方の続きを致します。(2007.11) 

第3回 陶磁器について

ゲスト写真 随分長い間お休みをしていましたが、店の繁忙期も過ぎ落ちついてまいりましたので、また器の話を再開したいと思います。
 前回に続き、器を購入する時の注意点、そして器のコーディネイトについてお話しいたします。
 まず衝動買いをなるべくしないということです。その器ひとつがとても気に入っても家にある器と合わせるとどうもしっくりこないということがよくあります。衣服と同じで、器もコーディネイトによりとても引き立てあい、上品で素敵な食卓になります。
器を購入する時は、まず今日は何を買うかを決め、家にある器を見て、どのような物が合うかを考えます。そして、色・形・寸法など十分に考えてから購入します。合わせる器(例えば刺身を盛る器)が決まっている時は持って行き、買う前にその商品(例えば醤油を入れる器など)と並べてみるのもいい方法だと思います。頭で考えていても違っている場合があり、現物を合わせるのがいちばんです。私の店ではよく合わせる器をお持ちくださいとおすすめしています。
 さて、次にコーディネイトのお話です。
お客様を招待する場合は、なぜ招待したのか、お祝いか、お礼か、etc.……など、その事柄に応じて器を選ぶのも大切です。その時和食器でとても重要なのは季節です。桜の時期に桜の器ばかりでは野暮ですが、2〜3点桜の器を取り入れるとか、最初から最後までお膳にある箸置を桜にするとか、ちょっとしたところに季節を演出するとお客様にもたいへん喜ばれることでしょう。──季節の演出をする場合、時期より早く使うのは良いのですが、遅くなってからでは良くないので注意してください。
 染付が好きだということで、染付ばかり揃える方がたまにいらっしゃいますが、コレクションとしては良いですが、お料理を盛って使用される場合は茶懐石などの本流からはおかしな器揃えとなります。
 どのように演出するとお客様に喜んでいただけるか? 茶会でも、季節を考えながらいろいろな焼き(磁器、陶器など)をどのように揃えていくかが亭主の腕の見せどころになります。向附だったら小器は備前風の陶器にする、あえて小器は同じ磁器の染付にはしない、夏だとガラスの器にし、飾りに竹の葉……とか。
 茶懐石とまでいかなくても、毎日のご家庭の食卓もこの器には何が会うかな? など少し考えながらコーディネイトしていくと毎日の生活も潤い、必ずひとつの楽しみになるでしょう。
お料理が出来上がり、さて、どんな器に盛ろうかな? メインの器が決まったら次の料理の器は? いろいろ置いて合わせてみて自分の好みで揃える。いつもの料理でも違う器に盛ってみる……今まで何となく盛っていた器が、コーディネイトによってお互い引き立てあってとてもよく見えることがあります。
 とにかく、いろいろチャレンジしてみてください。お料理の本に載せたいくらいバッチリ決まることがあります。ぜひぜひあなたも器のコーディネーターになってみてください。楽しいですよ!

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