『昨日ではない 明日でもない 今日だけである』 佐藤幸子著 |
銀座15番街の会員で、山形県上山市の、日本の宿「古窯」の創業者・佐藤幸子氏が、読売新聞山形版に毎月1回連載していたものを、平成24年の本年、宿の創業60周年を迎えるのを機にまとめたエッセー集。
嫁ぎ先は旅館の次男、姑から空っぽの金庫を渡され、宿を創業。が、井戸を掘っても水が出ず天秤棒に手桶を下げ水汲みに、嫁入りした時持参した着物を解き客用の布団に仕立て、営業。そういった困難も我が故郷振興のエネルギーにした日々。
限られたテーマを設けず、その時でなければ書けない思いが綴られた著書からは、そういった日々の事も。…今日あったこと 今日学んだこと 今日逢ったひと…を大事に、決着のついた出来事を後悔したり、未だ来ない明日のことを思い煩うのではなく、今日を大切にして、今 何が出来るかを常に考えて来た筆者の姿勢が柔らかい文章からも鮮烈に伝わり、勇気付けられる。
株式会社アイ・エム・シイ 本体 1,400円
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『ある警察官の昭和世相史』 原田弘著 |
英語の話せるポリスマンとして築地署などに勤務。後に、その頃見聞きしたり調べられたりした銀座に関わる逸話を、銀座15番街誌に「銀座に生きた人々」として連載し、『銀座 煉瓦と水があった日々』に上梓している。
今回は、昭和20年に警察官人生を始めた氏が、職務を通じて眺めた東京の風景や人々の姿をまとめたもの。初めてスリを逮捕したときの言い知れぬ緊張と興奮、深夜にパトロールする孤独、耳をついて離れないデモのシュプレヒコール、交番に立ち寄る人々との語らいなど、警察官の日常と本音を綴っている。
なぜ、あの時代に英語が話せたのか、歴史好きになったのかも、納得。警察官の制服から給料まで、貴重な資料も多数掲載され、往時の世相解読にも役立つ本である。
草思社/本体 1.800円
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『おとめさんの思い出話-昭和から平成へ-』 岩田トメ著 |
昭和2年生まれの筆者は、同23年まで、銀座の真ん中で職住一体の暮らしをする。もちろん、泰明小学校を卒業。人が住み、商い、子どもが路地を駆け回る。最も銀座が生き生きした時代を知っている人である。
平成21年〜22年まで、銀座15番街誌にその思い出を連載していたが、この度、それ以前にも書きためていたものをまとめて上梓。
新橋芸者達が普通に銭湯に行き、子ども達も同じ湯につかっていた時代から、第二次大戦を経て、夫とともに生活再建に奮闘。再開発に伴う人々とのやり取りなど、一女性としての人生にしては、なんと波乱万丈ではないだろうかと思うほどの日々。
そして、表紙の色を「母がよくこういう着物を着ていたの」と何度も口にされたのに現れるように、この本はご自分のお母様への深い敬慕を込めたものである。
本体 1,600円
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